【Stray考察】ZURKとNECO

 序盤から中盤にかけての主なエネミー、ZURK。見た目や鳴き声は可愛らしい(とされている)が、おぞましい巣を作り、ロボットすら食べてしまう恐ろしい生命体である。コイツらはどこからやってきたのか。

 

 ZURKの前に、NECO Corporation(以下NECO) について振り返ってみよう。NECOはゲーム内で稼働していることを確認できる唯一の企業である。どうやらリサイクル業が主な事業のようで、街の至る所でNECOのロゴが入ったゴミ箱を見ることができる。社名の由来は「新しい」「次代の」を意味するNEW、NEO、NEXTなどの言葉とECOを繋げたものであろう。結果、読みが日本語の「ネコ」になるというなかなか秀逸なネーミングである。

 名目上は「リサイクル」していたようだが実際はどうだったのだろう。終盤でNECOのプラントに潜入することになるが、そこで確認できる範囲では、ただ集めたゴミを下層に捨てているだけのようだ。一応下層の住民にとっては「天の恵み」であり、生活の糧にもなっているようだが、こんなものはとてもリサイクルとは呼べないだろう。B-12もNECOを「欲張りで身勝手な企業」と評しており、決して健全な企業ではなかったようだ。

 当然だが、このような「リサイクル」手法はすぐに破綻してしまうだろう。閉鎖されたシェルターであるから、捨てる場所がすぐに無くなってしまうのは目に見えている。そこで、NECOはゴミを分解するバクテリアを開発し、解決を図ろうとした。成功したかどうかは不明だが、これがのちのZURKとして悲劇をもたらすことになる。

 

NECOのロゴが入ったダストボックス
奥にはバグで案山子のようなものが浮いている

 ZURKに話を戻そう。前述のとおり、ZURKの原型は人造のごみ処理バクテリアであり、B-12によれば、人間が姿を消してから独自の進化を遂げたらしい。見た目は赤く光る眼をもつ、巨大な4本足のダニのようである。ある程度の集団で生活し、獲物を見つけるといっせいに現れ、とびかかる。特筆すべきはその雑食性で、生き物はもちろん、金属でできているはずのロボットすら食べてしまうらしい。紫外線が弱点で、それを含む光(日光など)を浴びると体が膨張しはじめ、最終的に破裂してしまう。

 ほかにも、ZURKは巨大な「巣」を作る習性がある。例えるならば「蠢く肉で出来たクモの巣」といったところで、ぶっちゃけめちゃくちゃ気持ち悪い。(ちなみに筆者はクモの巣恐怖症である…)とりわけ下水道はZURKのおぞましい本拠地であり、街のあちこちにある巣とは浸食度、規模ともに比較にならない。なにより大きな違いとして、巨大な目のような器官が大量に形成されている。気になるのが、この目が人間のソレに近しいものがあるところである。単なる演出なのかもしれないが、何か理由はあるのだろうか。

 

DocのシークレットラボにあるZURKの剥製と思しきもの
これだけの数を一人で捕獲できる腕っぷしがあるなら脱出できたのでは?

 先ほど説明したとおり、ZURKは「人間が姿を消してから」変異しはじめた。街に住んでいた人間は、おそらくなんらかの疫病によって次々と死んでいったのだろうが、ここでひとつ疑問が浮かんでくる。亡くなった人間の遺体はどうしていたのだろうか?狭いこの街に埋葬するスペースなど、おそらく存在しないだろう。最初のうちは火葬などで適切に対応していたかもしれないが、疫病が蔓延するにつれてそんな余裕も無くなってきたはずだ。

 ここからは証拠は何もないが、処理しきれないほどに増えた死者は、ついにゴミとして処理し始めたのではないだろうか。結局はナマモノなのだから、下水道にでも棄ててあのバクテリアに分解させてしまえばいいーそんな考えだったのかもしれない。もっと踏み込めば、NECOが遺体処理のビジネスとして始めた可能性もあるだろう。恐ろしい話だが、追い詰められた人間は何をしでかすかわからない。

 かくしてバクテリアにより「処理」の始まった人間の遺体だが、バクテリアは疫病に侵された人間の遺体を分解しているうちに、その遺伝子を取り込んで変異を起こし始めた。B-12は脈動するZURKの巣を「巨大な生物の体内」と表現していたが、これは遺伝子によって醜く再現された人間の肉体なのではないだろうか?あれは実は「巣」などではなく、あれ自体がひとつの生命体と考えることもできる。これであれば、例の「目」が人間のそれに近いことも納得できる。もしかすると、あの巣は病に倒れた人類の成れの果てなのかもしれない。

 

身の毛もよだつZURKの巣。ロボットの亡骸も見える。
「目」のスクショは怖すぎるので載せない

 そうなるとZURKとは結局なんなのだろうか。上記の考えに沿うならば、彼らは例えば白血球のような、生体の防御機構を再現したものと考えることができる。今思えば、ZURKが襲ってくる場面は、どれもこちらから住処へ侵入しようとする状況であった。ZURKの巣はセーフゾーンの間際まで広がっているにもかかわらず向こう側から襲撃する描写はないし、「デッドシティ」チャプターに至っては、巣から離れているためか、ネコをみて逃げる姿まで観察できる。

 何が言いたいかというと、ZURKは巣(という名の本体)を守っている防衛的な器官であり、実はそこまで攻撃的な生物ではないということだ。巣に侵入したネコやロボットを、体内に侵入した異物として排除しようとしているだけなのだ。ロボット達はZURKを非常に恐れているが、これは(巣に侵入した為に)犠牲になった同族を見たことによる、やや誇張された思い込みもあると思う。なんというか、そういう部分も実に人間らしいといえる。まぁ、危険なことに変わりはないだろうが…

 

ZURKに襲われるDoc
このまま放置しても死んだりはしないようだ(可哀そう)

 いかがだったでしょうか?二つの事柄をいっぺんに書いたので、かなり長くなってしまいました。後半からは殆ど想像によるものなので、正直かなり怪しいですね…。

 

ではまた〜。